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アノテーション業務とは?業務の手順や課題について説明します

 

AI分野は近年目覚ましい成長を遂げており、実用化されたサービスは次々ビジネスシーンや日常生活で利用されています。AI開発に関する用語も見聞きされるようになりましたが、「アノテーション」もその1つです。アノテーションはAI開発における特徴的なプロセスであり、開発業務に携わる上で押さえておきたい知識となります。今回はそんなアノテーションについて詳しく掘り下げてみました。

アノテーションとは

アノテーションは日本語で「注釈」「注解」などと訳され、AI分野においては1つ1つのデータにタグやメタデータを関連付けて意味を付与する作業のことです。犬の画像を機械に読み込ませた時、機械がそれが犬であると認識するための準備作業と言うと分かりやすいでしょう。AIは反復的な機械学習によって精度を高めるという性質があります。学習方法には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3パターンが挙げられますが、アノテーションはこのうち教師あり学習で使用される教師データ(意味付けされたデータ)の作成にあたる作業です。そのため、アノテーションは単に「教師データ作成」と呼ばれることもあるので覚えておきましょう。

アノテーションはAI開発において比較的早い段階で行われる作業です。AIでいくら機械学習を繰り返しても、データが適切にタグ付けされていなければ意味がありません。アノテーションはAIがシステムとして機能する上で重要な役割を担っているのです。また、近年のIT分野では企業が持つ「ビッグデータ」の活用が注目されています。膨大な情報もただ保管しているだけでは役に立たないため、個々にアノテーションを行い効率的に管理・運用する必要があるでしょう。アノテーションはビッグデータ活用のキーポイントとしても注目を集めているのです。

アノテーション業務の手順

アノテーション業務は基本的に「データ収集」「ラベル付け」「機械学習」「評価」というプロセスで進められるので覚えておきましょう。データ収集ではAIに読み込ませる情報を用途に合わせてまとめておきます。用途に関係ないノイズとなる情報については、この段階で精査して間引いておくことが大切です。ラベル付けはアノテーション業務のメインとなる部分であり、正確な仕事が要求されます。対象コンテンツを識別するためのラベルを貼り付け、意味となるタグを書き込んでいく作業です。ラベル付けしたデータをAIに機械学習させたら、正常に動作するかどうかをテストした上で性能を評価します。

アノテーションの作業自体は個々のコンテンツにタグやメタを付けていく単純で地道なものですが、対象となるコンテンツは様々です。コンテンツによって作業手順や内容が異なる点には留意しておきましょう。アノテーションを行うコンテンツは大きく分けて「テキスト」「音声」「画像・映像」の3種類です。

テキストのアノテーションでは文章の全体にタグを付けることもあれば、単語や語句のように一部を抜き出してタグ付けするケースもあります。指定した文章のラベルを「意図(インテント)」「感情(センチメント)」「意味(セマンティック)」といったカテゴリーに分類し、必要に応じて細かいタグ付けを行うイメージです。例えば文章中にある「東京」というキーワードに対しては、「地名」というセマンティックアノテーションを行います。テキストへのアノテーションによって文章のカテゴライズや抽出といった機能を実装可能です。

音声のアノテーションは、まず対象となる音声をテキスト化することから始めます。ラベル付けは「音の種類・音量」と「音声の意味」の2パターンです。例えば前者は名刺・形容詞・感嘆詞といった品詞や音の大小をラベルとして貼り付け、後者では単語単位で意味をラベル付けします。音声アノテーションは主にコールセンターなどで活用される音声認識システムに用いられており、マニュアルの表示や議事録作成を自動化可能です。音声認識の精度を向上させるためには、幅広い年齢層の男女からサンプル音声をデータとして収集する必要があります。

上記3つのコンテンツで最もアノテーション方法にバリエーションを持つのが画像・映像です。一般的によく用いられているのは1枚の画像に対して1つのカテゴリーをラベル付けする「画像分類」、画像内で複数の被写体を矩形でラベル分けしてそれぞれ異なるタグを付与する「物体検出」、1ピクセル単位で正確に被写体を識別する「領域検出」の3つが挙げられます。製造業や医療など異常の検知が重要な現場で活躍している技術です。

アノテーション業務の課題

アノテーションは成長著しいAI分野における重要な作業ですが、いくつかの課題が指摘されています。例えば「膨大な作業時間」がその1つです。アノテーションは1つ1つのデータに担当者が手作業でラベル付けしていくのが基本となっています。作業工程自体が複雑な訳ではないため、業務効率化のハードルも比較的高めです。さらにラベル付けの前にはデータを収集・精査する作業もあるため、AI開発にかかる時間と労力は相応のものになるでしょう。

作業時間と共にアノテーションの課題として挙げられるのが「人材確保」です。アノテーションは作業自体がシンプルと言っても、AI分野における重要なプロセスであることには変わりません。正確な作業・AIに関する知識やスキル・ITリテラシーなどが求められるため、アノテーションを担当できる人材は限られているのです。AI人材の育成・確保はAI開発を行う企業だけでなく、業界全体の課題であると言って良いでしょう。

品質の担保

AI製品は工業や医療など人命に関わる分野でも活用されているため、アノテーションには細心の注意と高い正確性が求められます。限られた人的リソースの中で品質を担保することが、AI開発に課された大きな課題となっているのです。現状でアノテーションの品質を担保するには「社内の作業環境を最適化する」か、もしくは「アノテーションをアウトソーシングする」かの二択と言えるでしょう。社内環境を最適化するには、まず効率的な作業手順をマニュアル化することが先決です。使用頻度の高いタグをすぐ呼び出せるようにする、作業工程をできるだけシンプルにする、使いやすいキーボードショートカットを設定するなど細かいポイントにテコ入れしましょう。また、品質を担保するという意味では社内のチェック体制構築も重要です。品質にバラつきが出ないよう、チェックシートや明確な基準を設けておくと良いでしょう。

アノテーションは需要の高まりから代行業者の数も増えました。社内での作業時間や人的リソース確保が難しいようであれば、アウトソーシングするのも有効な選択肢です。アノテーション代行サービスを選ぶ際は「作業に導入されているテクノロジー」「進捗状況やデータの共有有無」「サポート体制やコミュニケーションの充実具合」「分かりやすい料金プラン」といった点に着目してみてください。

アノテーションの事例

建設業界で活用されている生産支援サービス「Photoruction」の開発を手掛けた株式会社フォトラクションでは、アノテーション担当者の育成に注力して作業効率化を実現しています。建築に関する専門知識とAI開発の知識が要求されるため、社内でマニュアルを用意するだけでは効率的に人材が育ちませんでした。そこで同社は人材即戦力プログラムであるオンボーディングを採用しているアノテーション代行サービスを活用し、AI開発のノウハウを持った人材に自社のマニュアルを理解してもらう方向性に切り替えました。担当者には事前テストを設け、合格点に至らなかった場合はマニュアルを読み直してもらうなど徹底的な人材育成を行っています。その結果、アノテーション担当者の人材育成効率化という喫緊の課題を見事にクリアしました。

ユニファ株式会社はAIの画像・映像認識機能を駆使して園児の睡眠を見守るサービスを展開しています。しかし園児の表情は認識が難しく、良質な教師データ作成が難航していたのです。同社はプラットフォーム上で進捗確認やデータ共有が可能なタイプのアノテーション代行サービスを利用することで、この課題を乗り越えました。表情の認識に問題がある場合は即座にプラットフォーム上で担当者とコミュニケーションを取りながら作業を進めることで、エラーによる差し戻しや検収コストの削減を実現しています。

アノテーションの意義と重要性を理解して、精度の高いAIを開発しよう

アノテーションはテキスト・音声・画像・映像など様々なコンテンツを対象とした業務であり、AIがコンテンツの意味を認識するために重要なプロセスです。AI開発の知識や作業の正確性が求められるため、作業時間や人材確保といった課題も指摘されています。社内で解決策を打ち出せない場合は、外部のアノテーション代行サービスに依頼するのもおすすめです。コミュケーションを取りやすく、作業効率の良い業者へ相談しましょう。

 

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Automagica編集部

バーチャルアシスタント(AI秘書)サービス「Automagica(オートマジカ)」を中心に、AIキャラクターの開発をしております。

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